(PL法ともいう)

「PL」とは、Product Liability、すなわち「製造物責任」のことです。製造物責任制度とは、製品の欠陥によって生命、身体または財産に損害を被った場合には、被害者は製造業者などに対して損害賠償を求めることができる制度です。
製品の欠陥によって生命,身体又は財産に損害を被ったことを証明した場合に,被害者は製造会社などに対して損害賠償を求めることができる法律です。本法は円滑かつ適切な被害救済に役立つ法律です。
具体的には,製造業者等が,自ら製造,加工,輸入又は一定の表示をし,引き渡した製造物の欠陥により他人の生命,身体又は財産を侵害したときは,過失の有無にかかわらず,これによって生じた損害を賠償する責任があることを定めています。また製造業者等の免責事由や期間の制限についても定めています。
製造業者,消費者がお互い自己責任の考え方も踏まえながら,製品の安全確保に向けて一層の努力を払い,安全で安心できる消費生活を実現しましょう。
主な食品事故の訴訟例
フグ料理(昭和47年判決)
肝入りのフグ料理を食べた客が中毒死した。毒性のあることを知りながら肝入り料理を提供したことに過失があるとして、料理店の不法行為責任を認めた。
卵豆腐(70年発生、73年判決)
サルモネラ菌の付着した液卵を用いた卵豆腐により、購入者の415名が被害、内2名が死亡した。
判決は、製造者には不法行為責任、販売者には債務不履行責任を認めた。また卸売り業者にも販売者より重い責任を認めた。後に控訴審で和解が成立した。
カネミ油症事件(68年発生、87年和解)
ライスオイルにPCBが混入し、14,000人の中毒患者が発生し、126人が死亡した。食用油脂メーカーのほかPCBのメーカーも、金属腐食性があるPCBを熱交換媒体として使わせた、PCBに毒性があることを表示しなかったとして訴えられた。国と地方自治体が監督責任があるとして訴えられた。
粉ミルク砒素混入事件(55年発生、74年和解)
粉ミルクにヒ素が混入し、11,778人の赤ちゃんにヒ素中毒が発生し、133人が死亡した。メーカーのほか、国も監督責任があるとして争われた。原因は、安定剤に使用した第二リン酸ソーダが粗悪品で、ヒ素が混入していた。当時は精密な分析機器がなかったとして過失の立証が困難と判断され、和解が成立した。
辛子蓮根事件(84年発生)
辛子蓮根が原因となり、言語障害、麻痺、呼吸困難等を症状とするボツリヌス菌による中毒が発生した。被害者は36名、内11名が死亡した。食品製造会社は自己破産を申請し、認められている。
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