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食品添加物の表示
いろいろな安全性試験の結果を検討したなかで、実験動物に毒性の影響を与えない量(最大無毒性量)を求めます。次に、この最大無毒性量から、人が一日にその量以下ならば食べても有害ではない量、一日摂取許容量(ADI*)を求めます。
人間と実験動物では、物質に対する感受性が異なります。また、人の間でも差があります。そこで、動物実験で得られた最大無毒性量に、安全係数(Safety Factor→詳しくはQ5を参照)1/100をかけて得た値を、安全量とみなします。この安全量を参考に、使用できる食品と使用できる量を決めた使用基準を設定します。

*ADIは、Acceptable Daily Intakeの略で、一日当たり許容摂取量といいます。このADIは、Q4,Q5で説明した安全量を、一日当たりの平均値に換算して、さらに体重1kg当たりとして表したものです。このように決められたADIですので、毎日一生涯その量をとり続けても安全な量になっています。人は、毎日いろいろな食品を食べていますので、たまたま一日だけこのADIを越えて摂取したからといって心配する必要はありません。


(平成20年10月1日現在)
日本では、食品添加物の安全性と有効性を確認して厚生労働大臣が指定した「指定添加物」、長年使用されてきた天然添加物として品目が決められている「既存添加物」のほかに、「天然香料」や「一般飲食物添加物」に分類されています。今後新たに使われる食品添加物は、天然、合成の区別なくすべて食品安全委員会による安全性の評価を受け、厚生労働大臣の指定を受け「指定添加物」になります。
■食品添加物の指定及び使用基準改正に関する基本的な考え方
(1)安全性が要請された使用方法において実証又は確認されること
(2)食品添加物の使用が、次のいずれかに該当することが実証又は確認されること
  @ 食品の栄養価を保持させるもの
  A 特定の食事を必要とする消費者のための食品の製造に必要な原料又は成分を供給するもの
  B 食品の品質を保持し若しくは安定性を向上するもの又は味覚、視覚等の感覚刺激特性を改善するもの
  C 食品の製造、加工、調理、処理、包装、運搬又は貯蔵過程で補助的役割を果たすもの

(6)特記事項

1)食品添加物の表示

ア 食品添加物とは
 食品添加物とは、それ自身のみで食品として通常食べられることはなく、また、食品の典型的な材料として用いられないもので、食品を製造、加工する際、いろいろな目的で食品に添加されるものです。ただし、昔から一般に食品と考えられてきた砂糖や食塩などは除かれます。


 食品添加物は、次のように分類しています。
1 指定添加物
 天然、合成等の製造方法に関わらず安全性と有効性が確認されて、
 厚生労働大臣により指定されているもの
349品目
2 既存添加物
 食経験のある食品等の原料から作られ長年使用されてきて厚生労働大臣が
 認め、既存添加物名簿に掲載されている天然添加物
450品目
3 天然香料
 動植物から得られるもので、食品の着香の目的で使用される天然添加物
612品目
4 一般飲食物添加物
 一般に食品として飲食に供されているものであって添加物として使用されるもの
104品目

 [食品と食品添加物の関係]




イ 食品添加物の種類
 現在使用されている主な目的と食品添加物例は以下の表のとおりです。
使用目的別 分 類 食品添加物例
食品の味を
向上させる
調味料 グルタミン酸ナトリウム、グルタミン、タウリン
甘味料 サッカリン、アスパルテーム、カンゾウ抽出物、
ステビア
酸味料 クエン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸
苦味料 カフェイン、ニガキ抽出物、ナリンジン
腐敗その他
化学変化による
食品の変質を防ぐ
保存料 ソルビン酸、安息香酸、しらこたん白抽出物
酸化防止剤 ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、
トコフェロール(ビタミンE)
防かび剤 ジフェニル(DP)、イマザリル、
オルトフェニルフェノール(OPP)
栄養価の
維持向上
アミノ酸類 アスパラギン酸ナトリウム、アスパラギン
ビタミン類 アスコルビン酸、ニンジンカロテン
ミネラル類 亜鉛塩類、未焼成カルシウム、塩化カルシウム
食品を美化し、
魅力を増す
着色料 食用赤色2号、アナトー色素、ウコン色素、
クチナシ色素
漂白剤 亜硫酸ナトリウム、二酸化硫黄
発色剤 亜硝酸ナトリウム、硝酸カリウム
光沢剤 カルナウバロウ、ミツロウ
香料 アセト酢酸エチル、バニラ、イチゴ
食品の製造加工に
必要
増粘剤 アルギン酸ナトリウム、アラビアガム、グァーガム
イーストフード 塩化アンモニウム、焼成カルシウム
ガムベース エステルガム、エレミ樹脂
かんすい 炭酸カリウム、炭酸ナトリウム
酵素 アガラーゼ、カタラーゼ
チューインガム軟化剤 グリセリン、プロピレングリコール
豆腐凝固剤 塩化カルシウム、粗製海水塩化マグネシウム
乳化剤 グリセリン脂肪酸エステル、ダイズサポニン、
植物性ステロール
pH調整剤 クエン酸、リンゴ酸
膨張剤 炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム
その他 シリコーン樹脂、活性炭、流動パラフィン

ウ 表示方法
 食品添加物を食品に使用した場合は、原則としてすべて表示してください。表示するには一定のルールがあり、それに従って表示してください。
  (ア物質名 イ用途名併記  ウ一括名 エ表示免除(表示のいらない食品添加物))

(ア)物質名

 使用された食品添加物はすべて物質名表示が原則です。
 品名、別名、簡略名、類別名のいずれかで表示してください。

 《用途名併記の例》
品名(別名) 簡略名・類別名
サッカリンナトリウム(溶性サッカリン) サッカリンNa 簡略名
食用赤色102号(ニューコクシン) 赤色102号または赤102 簡略名
しらこたん白抽出物(プロタミン) しらこ 簡略名
L−アスコルビン酸(ビタミンC) アスコルビン酸またはV.C 簡略名
カンゾウ末(甘草末) 甘草 類別名
二酸化硫黄(無水亜硫酸) 亜硫酸塩 類別名
ラック色素(ラッカイン酸) ラック 簡略名
β-カロテン(β-カロチン) カロチノイド色素 類別名
硫酸アルミニウムカリウム(焼ミョウバン) ミョウバン 簡略名
水酸化カルシウム(消石灰) 水酸化Ca 簡略名
※簡略名等は決められた名称以外は使用できません。

(イ)用途名併記
 食品添加物の物質名だけでなく、その用途目的も合わせて表示した方がわかりやすいため、8種類の用途のものには、その用途名と物質名を併記してください。

 《用途名併記の例》
用途名 表示例
甘味料 甘味料(サッカリンNa)、甘味料(ステビア)、
甘味料(アスパルテーム・L−フェニルアラニン化合物)
着色料 着色料(赤2)、着色料(黄4、青1、アナトー)
保存料 保存料(安息香酸Na)、保存料(ソルビン酸K)
増粘剤、安定剤、ゲル化剤または糊料 安定剤(CMC)、ゲル化剤(ペクチン)
酸化防止剤 酸化防止剤(BHT)、酸化防止剤(エリソルビン酸Na)
発色剤 発色剤(亜硝酸Na)、発色剤(硝酸K)
漂白剤 漂白剤(亜硫酸Na)、漂白剤(亜硫酸塩)
防かび剤または防ばい剤 防かび剤(OPP)または防ばい剤(OPP)

(ウ)一括名
 食品添加物には、香料のように微量なものを多種類配合したものや、ガムベースのように複数の成分を組み合わせることで初めてチューインガムの基材となるもの等があります。これらは、多種類の物質名を表示するより、目的効果ごとに表示した方がわかりやすいので、一括名で表示することができます。
 一括名で表示することができるのは14種類で、その目的に使用された場合に限られます。

 《一括名の表示の例と目的》
一括名 使用目的
イーストフード イーストの栄養源
ガムベース チューインガムの基材
かんすい 中華麺の製造
苦味料 苦味の付与、増強
酵素 炭水化物やたんぱく質の分解等を行う
光沢剤 食品に光沢を与える
香料または合成香料 香りの付与、増強
酸味料 酸味の付与、増強
軟化剤 チューインガムを柔軟に保つ
調味料 味の付与、調整剤
豆腐用凝固剤または凝固剤 豆乳を凝固させる
乳化剤 食品の乳化、起泡等
pH調整剤 適切なpH領域に保つ
膨張剤、ベーキングパウダーまたはふくらし粉 パン、菓子等の製造工程でガスを発生して生地を膨張させる
※調味料については、アミノ酸、核酸、有機酸、無機塩の4グループに分類され、そのグループ名を(  )内に表記することとなっています。

(エ)表示免除(表示のいらない食品添加物)
 次のような場合には、表示が免除されます
●加工助剤 食品の加工の際に添加されたが、「1.最終食品として包装する前に食品から除去されるもの、2.食品に通常存在する成分と同じになり、食品中に天然に存在するその成分の量を有意に増加させないもの、3.最終食品にごくわずかなレベルでしか存在せず、その食品に何ら影響を及ぼさないもの」のどれかに該当する場合。
●キャリーオーバー 「1,原材料(食品添加物を含む)に対して食品添加物の使用が認められていて、2.その量が許可されている最大量を超えておらず、3.食品が、原材料から持ち越される量より多量の該当食品添加物を含有せず、4.持ち越された食品添加物の量が食品中で効果を発揮するのに必要な量より有意に少ない」というすべての条件に該当する場合。
ただし、調味料、甘味料、着色料は、表示が必要となります。
●栄養強化目的で
 使用された
 食品添加物
栄養強化の目的で使用されるビタミン、アミノ酸、ミネラル。
ただし、強化表示を行う場合は、健康増進法(参照)に基づく栄養成分表示ルールに従って表記しなければなりません。
参考:福井県農林水産部HP
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