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パソコン塾

4.ネットワークレスキュー

 パソコンにはトラブルがつきもの。そんなとき慌てないように自分で解決しよう
ネットワークでトラブルが発生したときに最初にすべきことは、ざっとトラブルの様子を探ること。一口にネットワークといっても、家や会社のLANもあれば、あるいはプロバイダーや、もっと先のネットワークもある。やみくもに手をつけても解明に時間ばかりかかってしまう。そこで、大まかに問題がある場所の見当をつけておくのだ。

手がかりはパソコンの画面から得られる。

1つはコントロールパネルにある「ネットワーク接続」。「ローカルエリア接続」や「ワイヤレスネットワーク接続」のアイコンに赤いバツが付いていないだろうか。バツが付いていたら、パソコンがLANにつながっていると認識できていない。パソコンに差してあるLANケーブルか、その先にあるハブに問題があるのかもしれない。無線LANなら、アクセスポイントが接続を受け付けていないか、アクセスポイントまで電波が届いていないのかもしれない。
使っているパソコンが会社のLANにつながっているなら、エクスプローラで「ネットワーク全体」を表示してみよう。正常なら社内LANにつながるパソコンを、Windowsネットワークのワークグループ別に表示してくれる。自分が所属するワークグループ以外が表示されていなければ、なんらかの理由で社内LANからパソコンが孤立しているのだ。
3つ目は、上級テクニックだが、コマンドプロンプトを表示させて「ipconfig」というコマンドを打ち込む。表示された数字はパソコンに設定してあるIPアドレス関連の情報だ。詳しくは説明しないが、図のような異常な値を表示したら、社内LANがダウンしている疑いがある。

以上紹介した3つの画面で異常が認められれば、高い確率で家や会社のLAN上に原因が潜んでいる。
トラブルの様子が分かったところで、いよいよ原因究明に乗り出す。最初に疑うべきは、ケーブルの接続だ。さんざん苦労して調べたあげく、単にLANケーブルか電源ケーブルが抜けていただけだったりすることは多い。必ず確かめよう。
きちんとLANケーブルが差してあるかどうかは、パソコンやネットワーク機器のランプを見れば一目瞭然(りょうぜん)だ。パソコンのLANポート付近やハブやルーターのきょう体には、必ずLANポートの動作状態を知らせるランプがある。機器によって点灯するだけの場合もあれば、データの流れと連動して点滅する場合もある。このランプが消えているということは、ケーブルを通じて電気信号が届いていない証拠だ。ケーブルの両端のいずれかがきちんと差さってないか、ケーブルが断線して
いるはず。コネクター部分に問題がないのにランプがつかないようなら、ケーブルを取り替えてみる。アクセスポイントなら無線LANの動作を知らせるランプを、ADSLモデムなら電話回線のランプもチェックする。これらが点灯していないなら、前者は無線LANの設定に異常がある(STEP5を参照)。後者なら電話回線がダウンしている。作業を中断して、ADSL事業者かプロバイダーに問い合わせるしかない。
万全を期すなら、ランプの状態とは無関係に、ネットワーク機器の電源ケーブルを一度抜いてリセットしよう。機器が熱や耐電のせいで暴走したり動作が不安定になっているケースがあるからだ。家庭に置くよう
な機器なら、いきなりリセットしても支障はない。仮にだれかがネットにつないでいても、瞬断だから気づかないだろう。めったにないことだが、電源が入らなかったり全く動作しなかったら、ハード的な故障だ。修理するか新品と交換するしかない。 ケーブルや機器が正常にもかかわらずトラブルが解消しないなら、その上を流れるデータを正しくやり取りできる状態にはないということ。
まず、自分が使っているパソコンが本当に正しくネットワークへ接続できる設定なのか確認しよう。
パソコンの設定で確認すべき項目は左の表の通りだ。IPアドレスの割当方法やワークグループの名前、メールを送受信するサーバー、プロキシーサーバーのIPアドレスなど、インターネットの設定ではおなじみの項目ばかりだろう。今まで正常に使えていたのに、突然トラブルに見舞われたのなら、これらの項目が啓き変わったとは考えにくいが、他人が手を加えた可能性は否定できない。

LANを導入した際のトラブルなら、いずれかの項目を設定し忘れていたり値を間違えているのかもしれない。チェックすべき項目はそれほどないので、きちんと日を通そう。
最近多い間違いが、無線LAN関連の設定ミス。パソコンをアクセスポイントにつなぐためには、「ESSID」と「WEPキー」と呼ばれる2種類の数字をパソコンに設定しておかなければならない。Windows XPなら「コントロールパネル」の「ネットワーク接続」にある「ワイヤレスネットワーク接続」で入力する値だ。どちらもアクセスポイントに設定してある値と同じでなければならない。値が間違っていると、ちょうどLANポートにケーブルを差してないのと同じ状態なので通信できない。
パソコンの設定に不具合が見つからなかったのなら、トラブルの原因はネットワークのどこかにあるのかもしれない。トラブルを起こしている個所を洗い出すには、pingと呼ばれるコマンドを使えばよい。「コマンドプロンプト」を表示させ、「pingあて先のIPアドレス」と入力すると、あて先まで小さなデータ(パケット)が送られる。たいていのネットワーク機器にはpingに返信する機能が備わっており、返事が戻ってきたらその機器まではネットワークが“生きている’’ことが分かる仕組みだ。
 pingを試す相手は、近くからだんだん遠くへというのが定石。無線LANを使っているなら、最初にアクセスポイントにpingを打とう。最近の製品ならたいてい返事をしてくれる。アクセスポイントのIPアドレスは、アクセスポイントの設定画面で見つけられるはずだ。無線LANを使っていなければ、ルーターにpingを打つ。ルーターのIPアドレスも導入時に設定しているはずである。もし思い出せないなら、STEP2で紹介したipconfigコマンドの結果のうち「Default Gatway」の行をチェックする。ほとんどの場合これがルーターのIPアドレスだ。ここまででpingの応答がもらえなければ、パソコンとルーターの問にトラブルの原因が潜んでいる。
もしインターネットが利用できないトラブルなら、次にpingを打つベき先はプロバイダーのDNSサーバーだ。DNSサーバーのIPアドレスは、プロバイダーから送られてきた契約書に書いてある。応答があれば、プロバイダーと家(あるいは会社)の間には原因はない。疑わしいのはさらに先。インターネット上のどこかということになる。通信したいサーバー、例えば「www.nikkeibp.co.jp」のようにホスト名をあて先に指定してpingを打ってみよう。応答があればサーバーは動作しているし、応答がなければプロバイダーとそのサーバーの間でトラブルが起きているとみていい。
pingでトラブルが起こっているであろう個所に目星をつけたら、あとは地道に原因を洗い出すしかない。
とはいえ、ありがちなトラブルなら、ポイントさえ知っていれば、あっさり原因を突き止められる場合もある。

目の付け所を紹介しておく。

1つ目は、LANケーブルの接触不良である(ヒント1)。LANケーブルは意外にデリケートで、机の下にはさんでケーブルをつぶすだけでノイズが乗りやすくなり、最悪の場合、中の銅線が切れてしまう。こんな状態では、通信が途切れたり速度が落ちる。コネクター上部の引っかけピンが欠けたまま使うのもよくない。
LANポートに差していても、しばらくすると端子の接触が悪くなり、通信が途切れがちになりやすい。
次が、ハブやLANスイッチなどのLANポート自体が“死ぬ”ケース(ヒント2)。あまり知られていないが、特定のLANポートが雷や静電気でショートして使えなくなることがある。
ランプを確認してポートの動作が変な気がしたら、別のLANポートにケーブルを差し替えてみるとよい。LANスイッチャパソコンの自動認識機能もトラブルの引き金になりやすい(ヒント3)。自動認識機能とは、通信速度が10Mなのか100Mbpsなのか、送受信を同時に行う全2重なのか交互に行う半2重なのか、ケーブルの両端の機器の通信モードを自動的に決める機能。最近のパソコン
やLANスイッチには自動認識機能が備わっているので、余計なことをしなければ問題は起こらない。ところが、ユーザー自身がパソコン側もしくはLANスイッチ側で自動認識機能をオフにして、「100Mbps、全2重」などと設定してしまうと大変。自動認識をオンにしたままの機器は半2重モードに設定するのが自動認識機能の仕様であるためだ。いつまでたってもパケットを送れなくなり、極端にスピードが落ちてしまう現象が起こる。
ケーブルや機器には問題はなさそうなのだが、なぜかWindowsパソコン同士でファイルの共有ができない。こうしたWindowsネットワークにまつわるトラブルもよく経験する。Windowsネットワークは
なかなか原因を特定しにくく、トラブルを解決しにくい。
しかし、実はWindowsにはあまり知られていないが、Windowsネットワークの動作を調べる心強いコマンドがいくつか備わっている。使いこなすのは大変だが、Windowsのネットワーク機能の裏側を垣間見ることができる(ヒント4)。
例えば「netdiag」コマンド。ネットワークに関するさまざまなテストを実行し、成功したか失敗したか表示してくれるコマンドだ。オプション付きで実行すると、Windowsのネットワークにかかわる
あらゆる情報や状態を引き出して表示してくれるので重宝する。
ほかにも、ワークグループ内に1台しかないマスターブラウザと呼ぶマシンを探し出せる「nbtstat」、パケットの通りやすさを調べてくれる「pathping」コマンドなども便利だ。
うっかりミスなどで、アクセスポイントやルーターといった機器の設定が間違っていたということもある。
間違うと通信に支障を来す項目をアクセスポイント、ルーター、ADSLモデムのそれぞれについて、表にまとめた。きちんと入力しているか1文字ずつ確認すること。
これまで紹介したポイントをもってしてもトラブルが解決できないようなら、あとはプロバイダーや機器メーカー、会社の管理者などに相談に乗ってもらうしかない。
もしインターネット上のどこかに原因があることが疑わしいなら、Webサイトを使うのも手だ(ヒント6)。逆向きに、インターネット上のどこかから自分のパソコンや近くにあるサーバーまでパケットが送り込めるか調べられる。もしかしたら糸口がつかめるかもしれない。