インターネットの現状
「インターネット白書2009」で見る最新動向
1日の接続時間は平均21.9時間、平均速度は20.8Mbps

 「インターネット白書2009」では、1日のうちでインターネット利用可能な時間や速度を調べる「インターネットコネクティビティー調査」を初めて実施した。今回は、その結果を中心に紹介するほか、NGNやWiMAXなど新たな接続回線の利用動向についても触れる。

ネット接続可能な21.9時間のうち、実際の利用は1〜3時間が最多
個人ユーザーの利用実態調査は、自宅からインターネットを利用している13歳以上を対象に、gooリサーチで4月17日から23日まで実施。性別や年齢層、1週間あたりのインターネット利用時間別人口構成比などに合うよう条件抽出し、3332人の有効回答を得た。

インターネットコネクティビティー調査では、インターネットに接続できる各種機器でインターネットに接続可能な時間と不可能な時間を調べた。接続可能時間は、実際にインターネットを利用していた時間ではなく、インターネットに接続できる環境にいた時間を指す。

 さらに、1日を通しての平均インターネット速度を調査し、これらをもとに1日におけるインターネットコネクティビティー(1日の平均接続可能時間×平均実測速度)を算出した。実測速度については、固定回線は「RBB TODAY」のスピード調査、携帯電話回線はインプレスR&Dの「モバイルスピード調査」のデータを使用している。

1日におけるインターネットコネクティビティー

 インターネットコネクティビティーは、全体平均で「21.9時間×20.8Mbps」という結果になった。性年代別では、「男性20代」が「22.6時間×22.1Mbps」でトップだった。なお、インプレスR&Dでは、モバイルインターネットの技術革新によって、近い将来、インターネットを利用したいときに、いつでもどんな場所でも高速で利用可能な環境、「24時間×100Mbps」の時代が来るとしてしおり、それに向けて現在の水準を明らかにするため、今回の調査を実施したという。

 インターネットに1日中接続可能だった機器としては、常に手元にある「携帯電話」が77.3%でトップ、次いで「PC(固定回線)」が49.2%、「ワイヤレス機器」が48.3%だった。また、機器別の接続可能時間の内訳は、「PC(固定回線)の接続可能時間」が19.7時間、PCの接続が不可能で「携帯電話のみ接続可能な時間」が2.2時間だった。

 一方、1日あたりの実際のインターネット利用時間は、1〜3時間が41.0%で最も多い。性年代別に見ると、男性20代、30代の利用時間が長く、3時間以上の合計比率がそれぞれ44.5%、41.5%となっている。インターネットを利用する時間帯は午後9時台から午前0時台までがピークだった。




1日のうちインターネットに接続不可能な時間 インターネットに接続不可能な時間帯の推移

インターネット利用時間帯の推移

ワイヤレスネット利用率が増加、高速モバイル通信は1.6%
 インターネット接続方法では、「FTTH」が45.9%で最も多く、次いで「ADSL」が34.2%、「CATV」が13.3%など。2008年と比べると、FTTHが41.7%から4.2ポイント増加し、ADSLは39.7%から5.5ポイント減少。また、2008年から商用サービスを開始した「NGN」は1.7%だった。

 接続品質やスピードに対する満足度は、全体で約6割(満足21.5%、やや満足37.4%)、特にFTTHユーザーの満足度は、約7割に達している。FTTH契約事業者のシェアは、「NTT東日本」が37.1%、「NTT西日本」が29.6%となり、両社合計で66.7%と独走状態が続く。以下は、「ケイ・オプティコム」8.3%、「KDDI」7.9%など。一方、ADSLは、「ソフトバンクBB」が34.5%でトップ。次に、「NTT東日本」20.4%、「NTT西日本」14.3%だが、両社を合計すると34.7%で、ソフトバンクBBに拮抗する。

 ワイヤレスインターネットの利用者は、「公衆無線LANサービス(PCで利用)」が2.1%で最も多く、次いで「高速モバイル通信(イー・モバイルなど)」が1.6%、「PCを携帯電話やPHSに接続」が1.0%、「通信機能内蔵のスマートフォン」が0.9%など。その他含めて合計では8.2%で、2008年の2.4%から増加した。利用場所は、「ファストフード、コーヒーショップなどの飲食店」49.0%、「駅構内・空港内、公園などの公共の場所、公共施設」45.9%、「ホテル・旅館などの宿泊施設」44.3%などが多かった。



ストリートビュー利用者は4割、「話題だから」が過半数

 インターネットの利用実態について統計データなどをとりまとめた「インターネット白書2009」(監修:財団法人インターネット協会、発行:インプレスR&D、定価:7140円)が6月18日に発売された。INTERNET Watchでは、その内容の一部を3回にわたって紹介する。今回は、個人ユーザーにおけるWeb検索やWebメール、コミュニティなどのWebサービスの利用状況を中心に取り上げる。

 個人ユーザーの利用実態調査は、自宅からインターネットを利用している13歳以上を対象に、gooリサーチで4月17日から23日まで実施。性別や年齢層、1週間あたりのインターネット利用時間別人口構成比などに合うよう条件抽出し、3332人の有効回答を得た。

● 利用する検索サービス、WebメールともにYahoo!がトップ

利用するWebブラウザ
 利用するOSは、「Windows XP Home Edition」42.3%、「Windows Vista Home Premium/Home Basic」23.9%、「Windows XP Professional」16.2%などが上位だった。2008年と比べ、Windows XP Home Editionは50.7%から減少、Windows Vista Home Premium/Home Basicは13.6%から増加した。

 利用するブラウザは、「Internet Explorer 7以上」58.5%、「Internet Explorer 6.x」15.0%、「Firefox 3」12.0%が上位となった。2008年9月に登場した「Google Chrome」は3.8%。そのほか、「Sleipnir」3.2%、「Opera 9.x」2.7%、「Safari Mac版」2.5%など。メールソフトは、「Outlook Express」が35.2%、「Outlook」が23.3%、「Windowsメール」が9.5%など。

 利用するWebサービスでは、「地図」72.1%、「乗換案内」65.1%、「Webメール」52.5%が多い。Webメールで利用するサービスは、「Yahoo!メール」が80.1%を占める。以下は、「Hotmail/Windows Live Hotmail」が30.1%、「Gmail」が25.4%、「gooメール」が25.2%、「infoseek メール」が12.1%など。その他のポータルやISPが提供するWebメールは2〜4%台に並ぶ。

 検索サービスは、「Yahoo! JAPAN」が57.5%、「Google」が32.8%、この2種類で90%を占める。検索結果の満足度は、「非常に満足」が7.6%、「まあ満足」が62.5%で、7割が満足している結果になった。また、「Google」に限ると76%が満足しており、他社サービスに比べて満足度はやや高いという。



利用するWebメール 利用する検索サービス

● ストリートビュー利用目的、「試しに、話題なので」66.4%
 利用するコミュニティサービスでは、「ブログ」(書き込み27.5%、閲覧のみ24.5%)、「Wikipedia」(同2.2%、同46.1%)が5割、以下は、「掲示板」(同11.7%、同17.8%)、「ユーザー参加型の商品・サービスのレビューサイト、評価サイト」(同7.5%、同19.1%)、「SNS」(同17.4%、同6.1%)が多い。ただし、各サービスとも利用者数に大きな変化は見られないという。

 登録しているSNSは、「mixi」が88.5%で独走し、「モバゲータウン」11.5%、「GREE」11.2%などが続く。「GREE」の利用率は2008年から2ポイント増加しており、「mixi」と他のSNSを併用するユーザーが増えているという。「Twitter」などのマイクロブログの利用率は1.4%にとどまった。利用するマイクロブログでは、「Twitter」35.6%、「mixiエコー」26.7%、「はてなハイク」6.7%など。

 利用する動画投稿サイトは、「YouTube」と「ニコニコ動画」の寡占状態が続いている。閲覧は「YouTube」が99.6%、「ニコニコ動画」が78.1%だが、投稿は「YouTube」が50.0%、「ニコニコ動画」が62.5%だった。写真共有サービスの利用状況では、「すでに利用している」が6.4%、「過去に利用していた」が4.4%で、利用経験は1割にとどまった。

 有料動画の購入経験者(104人)に動画のジャンルを尋ねたところ、「アダルト」が38.5%でトップ。次いで、「映画」37.5%、「アニメーション」26.0%など。なお、2008年は「映画」が32.1%でトップ、「アダルト」は19.6%で4位だった。これについてインプレスR&Dは、「前後10%というのは、統計的な誤差の範囲に入る。昨年と今年で、実はそんなに変わっていないという可能性もある」とした。

 「Google マップ」のストリートビュー機能については、「よく利用する」4.1%、「たまに利用する」13.4%、「試しに利用したことがある」25.1%を合わせると、利用者は4割だった。利用目的は、「試しに、話題だったので」が66.4%、「これから訪問する場所の確認」が34.9%、「過去行ったことがある場所を見る」が25.2%など。

 ストリートビューのプライバシーに対する意識では、「自宅は絶対に掲載してほしくない」が20.7%、「家の中が写っていないなど、条件次第ではよい」が46.2%、「自宅が掲載されても別に気にしない」が28.7%など。特に、一戸建て居住者は「絶対に掲載してほしくない」とする比率が高い傾向が見られた。

コミュニティサイトで他人にプライバシー晒され不快に思う2.9%

 インターネットの利用実態について統計データなどをとりまとめた「インターネット白書2009」(監修:財団法人インターネット協会、発行:インプレスR&D、定価:7140円)が6月18日に発売された。INTERNET Watchでは、その内容の一部を3回にわたって紹介する。今回は、セキュリティ関連の動向を取り上げる。

 個人ユーザーの利用実態調査は、自宅からインターネットを利用している13歳以上を対象に、gooリサーチで4月17日から23日まで実施。性別や年齢層、1週間あたりのインターネット利用時間別人口構成比などに合うよう条件抽出し、3332人の有効回答を得た。

 また、企業の動向については、国内企業のWeb担当者などを対象に、gooリサーチで4月22日から29日まで調査。インターネットを利用している企業の業種別・雇用者規模別・雇用者数構成比に可能な限り整合するように抽出し、2565人の有効回答を得た。

● フィルタリングサービスの利用率は7.2%、2008年と大差なし

迷惑行為の被害経験、全体的に2008年より若干減少
 個人ユーザーに対して、インターネット上におけるセキュリティ被害や迷惑行為の経験を複数回答で尋ねたところ、「ウィルス」が22.8%で最も多く、次いで「個人情報の漏洩」が9.0%、「スパイウェア」が8.9%、「自分のプライバシー情報の流用」が3.2%、「誹謗・中傷・デマ」が2.9%などだった。

 コミュニティサイトで他人に自分のプライバシー情報を掲載された経験の有無については、「掲載されたことはない」の76.9%、「わからない」の15.6%が多かったが、「掲載されたことはあるが特に何も思わない」が3.0%、「掲載されたことがあり、不快や不安に思ったことがある」が2.9%あった。

 また、ファイル共有ソフト使用率は、「Winny」3.6%、「LimeWire」2.7%、「WinMX」2.1%、「Share」1.7%が上位だった。共有・転送しているファイルの種類にいては、「音楽」63.8%、「動画」51.2%、「イメージ」23.5%、「アプリケーション」17.7%などが多い。使用ソフト、共有ファイル種別ともに比率は2008年とほぼ同じだ。

 個人のセキュリティ対策では、「ウイルス対策ソフトの利用」65.3%、「心当たりのないメールには反応しないようにしている」57.3%、「迷惑メールは振り分けの設定するなどして、開かないようにしている」46.8%、「怪しげなサイトのURLにはアクセスしない」41.0%などが多かった。また、フィルタリングサービスの利用率は7.2%で、2008年の7.6%から大きな変化は見られなかった。

コミュニティサイトで他人に自分のプライバシー情報を掲載された経験・意識 フィルタリングサービスについては、利用していないユーザーが大半を占める

● 社内でのネット私的利用、Web閲覧やメールなど制限なしが半数
 企業のセキュリティ被害では、「被害にあった」は27.3%で、主な被害内容としては、「内部の人間によるウイルス感染」13.0%、「不正アクセスによるウイルスやワームによる被害」9.6%などが多かった。

 企業のセキュリティ対策では、「ウイルス対策と教育」が61.8%で最も多く、次いで「セキュリティー・個人情報保護体制・教育」が52.8%、「社外からの機材持ち込み制限」が34.9%、「社内からの機材持ち出し制限」が34.9%、「Web閲覧制限」が30.8%、「USBメモリやCD-Rなどによるデータの持ち帰り制限」が29.9%など。

 今後取り組む予定のセキュリティ対策は、「特になし」31.9%、「わからない」24.4%といった回答以外では、「シンクライアントの導入」が8.8%、「USBメモリやCD-Rなどによるデータの持ち帰り制限」が8.5%、「無線LANのセキュリティー強化」が8.3%、「社外からの機材持ち込み制限」が7.5%、「Web閲覧制限」が7.4%などだった。

 インターネットの私的利用について、「特に制限していない」とする回答は、「Webサイト閲覧」で49.6%、「メールの送受信」で52.9%、「インスタントメッセンジャー」で44.1%。フィルタリングやモニタリングなどで物理的な制限を行っている比率より高かった。また、取り組んでいるセキュリティ対策の効果に「非常に自信がある」は3.9%、「自信がある」は21.4%だった。

 2009年の情報セキュリティ関連投資は、「わからない」が30.5%で、次に「5万円未満」が16.8%、「10万円未満」が9.8%など。次年度の情報セキュリティ関連投資は、「わからない」42.8%、「今年度並み」31.4%に次いで、「減少の予定」が15.1%、「増加の予定」が10.6%だった。「増加の予定」は2008年から5.2ポイント減っており、「減少の予定」が上回った。インプレスR&Dでは、不況の影響の表れとしている。



出所:「インターネット白書2009」